横山家住宅

 北千住(東京都足立区)で「横山家住宅」がありました。

横山家住宅(よこやまけじゅうたく)

 宿場町の名残として、伝間屋敷の面影を今に伝える商家である。伝間屋敷は、街道に面して間口が広く、奥行が深い。戸口は、一段下げて造るのが特徴である。それは、お客様をお迎えする心がけの現れという。
 敷地は、間口が十三間、奥行が五十六間で鰻の寝床のように長い。
 横山家は、屋号を「松屋」といい、江戸時代から続く商家で、戦前までは手広く地漉紙問屋を営んでいた。
 現在の母屋は、江戸時代後期の建造であるが、昭和11年に改修が行われている。間口が九間、奥行が十五間あり、大きくてどっしりとした桟瓦葺の二階建てである。
 広い土間、商家の書院造りと言われる帳場二階の大きな格子窓などに、一種独特の風格を感じる。上野の戦いで、敗退する彰義隊が切りつけた玄関の柱の傷痕や、戦時中に焼夷弾が貫いた屋根など、風雪に耐えてきた百数十年の歴史を語る住居である。

平成二年十月
東京都足立区教育委員会

(2018年6月9日現在)