東京メトロ錦糸町駅で地域の風物詩

 東京メトロ錦糸町駅(東京都墨田区)で地域の風物詩をあらわした絵がありました。
(2018年10月7日現在)

両国花火

両国花火

 広重晩年の作、名所江戸百景の内の一作品。両国橋とは、隅田川を挟んで武蔵と下総の二国に架けられた橋ということでその名がつけられ、この界隈を両国と呼んでいた。江戸随一の繁華街として、見世物・芝居・辻講釈などの遊興で賑わっていた。
 広重の描く「両国花火」は上から見下ろす視点で、大輪の花火の華々しさを的確に印象的に表現し、橋上には花火見物をする人々、川面には屋形船、屋根舟、猪牙舟などの納涼船のほか酒や鮨、果物を売るウロウロ舟が浮かんでいる。

亀戸梅屋舗

亀戸梅屋舗

 広重晩年の作、名所江戸百景の内の一作品。亀戸三丁目の一劃に梅の花で有名な梅屋舗「清香庵」があった。
 広重はここにあった臥龍梅と言われていた奇木を近景に描き、屈曲を繰り返す他の枝や幹はこの近景越しに、遠くへ広がらせてその景況の壮観さを窺わせている。背景は淡紅色の潰し摺りで、春光と暖かさを象徴させ、すべてむだのない構図がこの絵の格調を高めている。後期印象派のヴァン・ゴッホが、この図を油絵で模写していることは有名である。
 名園であったが、明治43年の洪水で大部分の梅が枯死、その後も工場の煤煙のために枯れ、廃園となった。

大はしあたけの夕立

 広重晩年の作、名所江戸百景の内の一作品。大はしは現在の新大橋より百メートル程下流、日本橋あやめ河岸から深川六間堀町の辺りに架かっていた橋であり、この付近を安竹と呼んでいた。
 広重は安竹方面を見通した大橋上の夕立の光景を描いた。竪長の画面は、激しく降る夕立ちの雨脚に加速度感を与え、対岸の御船蔵をはじめとする家々が霞んで見える情景も、雨の層の厚さを思わせる。この霞んでいる対岸の斜線と大橋の斜線とが、画面中央に隅田川の広い水面を三角的に表現して、見事な水の量感を示している。
 後期印象派のヴァン・ゴッホはこの絵に注目し、油彩で模写していることは有名である。