みめぐりの土手

みめぐりの土手

 東京都墨田区側の隅田公園の隅田川沿いを歩いていたら、鬼平情景「みめぐりの土手」の説明板をみかけました。

みめぐりの土手

「大川の隠居」に登場します。大川(隅田川)の土手のうち三囲神社の鳥居の貫から上が川面から見える辺りを指したようです。作品名になった大鯉が現れる直前の場面で、舟から暮色に沈む風景を描写しています。土手の奥には長命寺、寺嶋のくろぐろとした木立が望まれ、目を転ずると浅草寺の大屋根が月光をうけている。概ねこのような内容ですが、両岸の寺社の位置関係がよく分かります。
 竹屋の渡しで結ばれたこの流域からは鬼平犯科帳には三囲神社、対岸の待乳山聖天をはじめ料亭、船宿が多く登場します。「大川の隠居」では平蔵が友五郎を誘って、山谷堀の今戸橋近くの船宿〔嶋や〕に上がります。杯を交わしながら、平蔵が亡父遺愛の銀煙管に煙草を詰めるところで実に小気味のよい結末となります。

(2015年3月28日現在)

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